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また、裕福になる以前は本来クウェイト人が従事していた羊飼いにいたっても、現在は雇われバングラデッシュ人がそれに代わっています。ときどき効外の砂漠地帯で外国人労働者が地雷で死傷したとの記事を目にしますが、こういった雇われ羊飼いもその犠牲者の中に入っていることでしょう。
以上は小生の見聞したほんの一部をご紹介しましたが、クウェイトにおいてはありとあらゆる職業に外国人出稼ぎ労働者は欠かせない存在となっています。しかしながら、将来的にはクウェイト政府が、当国におけるクウェイト人の人口比率を高めるため、また近い将来労働市場に放出される大量のクウェイト人若年者への雇用機会を確保する見地から、外国人居住者数を抑制する諸策を実施する可能性もあり、外国人出稼ぎ労働者にとっては予断をゆるさない状況となっています。
最後に、当国における出稼ぎ労働者は、一部にはビジネスで成功している者もいますが、大多数は厳しい労働条件の下で働いており、その収入の一部を故国の家族の元へ送り続けております。小生の知っている者でも、家族と離れてからクウェイトに来て十数年経つ者を含め、最低でも5年以上当地で働き続けて故国の妻子及び両親へ仕送りを続けているという者が数多くいます。彼等は一様に生活ができるなら、出稼ぎなどせずに故国で家族と共に暮したいようであり、一日も早く錦を飾って帰国できる日を夢見ているようです。
日本においても以前、家族と別れ東北地方等から東京に出稼ぎに出てきた人々が数多くいた時代があったことを思い浮かべると感慨深いものがあります。

 

 

 

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